条件を気にする前に自分の価値を高めること

まもなく春を迎えますが、企業によっては人事異動の時期。
すでに異動の内示を受けた方もいれば、そわそわして落ち着かない方もいらっしゃると思います。
なかには予期せぬ、そして不本意な人事異動を言い渡される方もいるかもしれません。
 
転職したい方が増えるのもこの時期で、CMや電車内の広告にも「条件はもっといい会社」「新しい生き方」などと転職を促すようなコピーが目立ちます。
実際、私のところにも相談が増えてきています。
 
具体的に転職したい、というよりも異動を機に自分のキャリアプランを今一度考えたい、そのために自分の市場性を知りたい、という方が多いでしょうか。
 
ここでケーススタディ。
「自分は大手企業で25年以上勤めてきた。転職経験はない。営業から管理職となり、そして現在は社内を活性化するプロジェクトを任されている。
しかしこの春異動の打診があった。残念ながら社内の出世コースを外れた人たちが多くいる部署だ。
今までの経験、スキルを活かして転職をするか、このままとどまるか迷っている。転職した場合の自分の市場性が知りたい。」
 
さて、どうする。
聞けばご家族もいて、まだまだある程度の収入が必要とのこと。
そして、社内の出世コースを外れたことや、年齢を考えると転職そのものが難しいことも理解されています。
 
その人個人の持つ経験、スキル、人柄は皆違います。
そして企業が求める人材要件も様々。
一概に言うのは難しいですが、敢えて市場性というならば「厳しい」という言葉になリます。
 
問題はその人がどこに軸足を置いて、今後のキャリア、いや生活を考えるかだと思います。
ご家族を養わなければいけない、だから条件面は譲れないのか。
いままで自分が得てきた経験を活かして後進に伝えていきたい、その実現のためには条件ではなく、やりたいことを貫くのか。
どちらもその人にとって重大な問題であり、正解はありません。
 
ただ一つだけ言えることがあります。
それは市場性を理解するのではなく、自分の価値を理解すること。
 
この年だからこの給料しかもらえない、転職するにはこの給料まで下げるしかない。
それでは自分の価値を理解することなく、ただ妥協しているだけです。
 
では、自分の価値はどのように計れるのでしょうか。
商売とはだれかの共感や支持を得て、対価を頂くことで成り立ちます。
どこに共感を得るのか、どのように共感を得るのかを考える必要があります。
自分のやりたいこと、そして成し遂げるだけの力やその人自身の人柄が、だれかの共感を得ることで価値を生み出し、評価、対価につながっていきます。
 
まずはご家族をはじめとした身近な人の共感を得ることから始めてみましょう。
やりたいことがある、自分はこれだけの実力がある、と思っていても周囲の理解が得られない場合は独りよがりだったということです。
 
逆に周囲の共感を得て、応援があるならばそれは価値があるということ。
直近の給料が下がってしまったとしても、自分の価値が下がったわけではありません。
どこかで共感者がサポートをしてくれるはずです。
 
きれいなことを書きましたが、中高年であればあるほど転職市場は厳しいのが実情です。
人出不足の中、高齢化の時代を迎えて、まだまだ元気な中後年の方々に力を発揮してもらおうというのはその通りですが、現実がそうなっていない中で、現状を憂いても仕方がありません。
自ら価値を高め、共感者を創り出す行動をとりましょう。
 
そして若い方も同じです。
目先の条件につられてもいけないし、自分には価値があると独りよがりの行動に出てもだめ。
自らの価値を高め、だれかの共感を得る。そのことを意識して若いうちから行動すれば、年月を重ねたときに何かあっても支持者が現れて、助けてくれると思います。