町内会の後継者づくり

仕事関係やら地元のお付き合いやら友人やらと、年が明けてから新年会しかしていない日々もやっと終盤。先日は私の住む台東区入谷地区の町会連合会の新年会に青少年部を代表して出席してきました。
 
受付などを各町会の青年部がお手伝いするのですが、「青年」と言ってもほとんどがアラフィフです。
企業と同様、青年部が働き盛りのリーダーとして体を動かす感じです。
ちなみに20代や30代前半の若手は「若睦(わかむつ)」と呼ばれていて、新入社員から入社数年目の社員というイメージとなります。
 
この辺りの組織や年齢構成は地域によって違うのでご参考ですが…。
いずれにせよ、担い手や若い後継者がいないということは大多数の町会組織の共通の悩みだと思います。
 
町内会にも成り立ちが何種類かあり、それにより後継者不足の要因は異なると思いますが、後継者がいないという悩みは、一方で町内会なんかに参加したくない、意味がないという人たちの思いの裏返しです。
まぁ、今の時代は会社勤めの人も多いので地元でも人間関係に巻き込まれるのは煩わしいと思うだろうし、SNSなんかで同じ価値観の人同士で繋がることもできるので、町内会の存在意義が変化しているのは間違いないと思います。
 
町内会の役割は何か。
この辺りは紙屋高雪さんという方が『どこまでやるか町内会』(ポプラ新書)に詳しくお書きになられているので参照すると、大きく分けて「地方自治体の下部組織」と「コミュニティ形成」の二つの側面になるようです。
よく町会費を払うのを拒否したらゴミ出しができなくなった、などという問題は本来行政がやるべきことを、加入は強制ではない任意団体であるはずの町会が代行するが所以のようです。
 
果たして、我が地元はどうか。
 
新年会の来賓にも区長をはじめ行政の方々が来賓として出席され、区政の運営には町会ははじめとする地域の理解、協力が欠かせないとお話されるのを聞くと、行政の末端を担っていることを実感できます。
そして、町会内のつながりや町会どうしの横のつながりで地域の行事が回り、住人の方々が無意識にかもしれませんが参加してくれていることは、コミュニティ形成の役割も果たしていると思います。
 
一方で、お祭りで当然の権利のようにお子さんを連れてお菓子をもらいに来る親御さんなど、無意識に参加しているケースが多いことは、主体的には関わらない=後継者が少ない状況を現しており、その根本的な要因は「主体的に関わりにくい状況にある」ということなのだと、新年会で実感しました。
 
新年会の席では、地域の発展のためにホールやペデストリアンデッキなどのインフラを整備してほしい、という町会側の挨拶がありました。
えっ、そうなんですか??
おそらく個人的なお考えとしての発言だと思うのですが、行政担当者がいる場での壇上での発言となれば、地区の25,600人の住民の声を集約したものと捉えられてしまいます。
 
私は地域の歴史を担ってきた先輩方を基本的に尊重する立場です。そこには色々なご苦労があり、その歴史の上に今の私たちの生活があるからと思うからです。
だからこそ、たとえ古臭いしきたりだったとしても、役割はきちんと果たしたうえで、発言したいと思っています。
 
しかし、意見収集する場面もなく物事が進むおそれのある場面を見てしまうと、関わろうとしない、したくない方々の気持ちもわかります。
 
町内会にとって不可欠なたった一つの仕事はコミュニティ意識を育てること、と先述の紙屋高雪さんも書かれています。
台東区は2018年、江戸を活かした街づくりを進めるそうですが、ハコではなく、コミュニティの側面で江戸を活かしてもいいのではないでしょうか。
 
構造的な問題をすぐに解決することは難しいと思います。
先人の努力も尊重したいと思います。
 
そのうえで、地域文化やコミュニティの継承の観点から、既存の組織と、そこに関わろうとしない、いや関わりたくても機会がない方々、両方が歩み寄れるような取り組みを、考えていかなければならないと、想いを強くしました。
 
企業の研修でもお仕着せの研修ではなく、トップが組織全体を巻き込み、メンバーが主体的に研修に参加してもらうようにしないと効果が薄くなります。
企業における人財育成をそのまま地域に当てはめることは危険だと思いますが、応用して何かできないか、そんなことを大雪で凍結した上野公園を歩きながら考えました。
おっと、すべらないようにしなきゃ笑