地域文化の継続に向けて

私の住む入谷にはまちづくり会社ドラマチックさんという会社があり、そちらの主催で入谷の街を盛り上げようと「Good day iriya-グッデイ入谷」(https://www.facebook.com/goodday.iriya/)というイベントが春と秋に開催されています。
 
先日、その出店者さんたちの新年会があったのですが、私も「いりやごと」(http://iriya-goto.com)というwebマガジンに2016年から関っており、何度かグッデイ入谷のことを記事にさせていただいた縁で顔を出させていただきました。
 
出店者の方はもちろん入谷にお店やゲストハウスを構えていらっしゃいますが、それでも知らないことはたくさんあり、「ランチのオススメはどこか」「夜ちゃんとご飯食べられるお店が少ない」なんて話で盛り上がりました。
 
ここまでは相互に情報交換なのですが、地理や歴史、祭事などの文化的なこととなると情報交換というより一方通行で知っている方の話に「へぇ〜」、となる。そう、オーナーさんや働いている方でも意外と地域文化って知らないことって多いんです。
かくいう私も町内会の青年部(https://www.facebook.com/search/top/?q=本入谷町会)で活動したり、氏神様である神社の氏子青年会(https://www.facebook.com/search/str/小野照崎神社氏子青年会/keywords_search)に所属したりで色々な行事の運営に関わっていますが、大先輩から日々ご指導いただくことばかり。まだまだ知らないことだらけです。
 
実際、地域で商売をしている方々のつながりには大きな変化があると思います。
 
私がどちらかというと軸足を置いているのは、昔ながらのつながり。顔と顔をつきあわせる濃密な文化です。
地域に色々な産業が集積された時代、その産業に関わる人々向けの商店も集まる。その商店の集積が商店街であり、生活者のコミュニティが町内会であり、そして氏神様の元で氏子として祭礼に関わる。連絡手段は回覧板!
 
対して、現代においては、地域に一つの産業が集積することも少なくなり、商店の数も商店街を形成するほどではなく、SNSによって広域からの集客も可能となる中では、特定の地域に出店する理由や必然性も変化してきます。
あらためて地域とのつながりを見直そう、つながろうと試みるのが地域イベントがあり、グッデイ入谷もその一つだと思います。
 
ここで課題となってくるのが、旧来のつながりに立脚したコミュニティと新しいコミュニティとの断続性。
 
旧来のコミュニティは地理的な範囲の中にぎゅっと押し込められたつながりであり、そのつながりの範囲は道路一本はさんで違う町会になると越えられなかったりする。
一方の新しいコミュニティは地理的な範囲は軽々と越えるけれども、町会といった旧来の範囲の中での深さはなかったりする。
 
両者の良さが融合すれば素晴らしいコミュニティになると思いますが、実際のところどうなのでしょうか。
旧来のコミュニティからは、新しいコミュニティに対する違和感があることも事実だと思います。
地元どおしの直接のコミュニケーションに立脚せず、SNSなどを通じた同じ価値観の者だけで集合し、今まで自分たちが大切に育んできた伝統、しきたりに対してリスペクトがないのではないか、という警戒心を抱かせるケースがあるからです。
 
それに対して、警戒心など抱くな、自分たちこそ古いつながりで固まるな、オープンになれ、と言うだけならば簡単です。
でもね、半世紀以上もその土地でご苦労されてきた方々ですよ。なかなか話が通じなかろうが、意思決定に時間がかかろうが、まずは尊重すべきではないかと私は考えています。
 
諸先輩型は自分たちが築き上げてきた文化を、自分たちが信頼できる後進に引き継いでいこうと考えています。
最初はとっつきにくいですが、尊敬の念を持って内側に入ってしまえば、これほど暖かい所はないのです。
 
とは言っても排他的な感情があることも事実な中で、どのようにして感情の壁を越え、昔ながらのコミュニティと新しいコミュニティとの連続性を持たせればよいのでしょうか。
 
地場産業というつながりが薄くなってきた現在、地域としてのつながりを作るには文化というよりどころが必要ではないかと考えます。それは神社仏閣という歴史的、宗教的なものであったり、行事といった無形文化でもよいと思います。
 
最近はディベロッパーが地域のランドマークを開発するにあたって主導的立場で文化を継承していこうという動きも見られます。
しかしながら、文化を築き上げ、引き継いできたのは地域の諸先輩方であり、そこには色々なご苦労があったはず。
その側面を見ずに、築きあがったものだけに価値を見出し、利用だけしようとすれば、今まで努力してきた側からすれば「いいとこどり」です。
あくまで主導となるのは地元であり、ディベロッパーはきっかけづくりやサポートに回るべきだと私は考えます。
 
一方で地域の側も、その動きに対しては一体的に取り組むことで、あらたなよりどころを後世に引き継ぐ準備をすることも必要だと思います。
旧来のコミュニティはどうしても個の集まり=属人的な動きになりがちですが、後世に文化を残していくためには現代に適応した組織化も必要だと考えます。
 
私は、地元に生きてきた者として、そして今までショッピングセンターを中心とした「街づくり」を標榜する企業にまがりなりにも籍を置いてきた者として、地域社会の組織化に関わっていきたい。
そんなことをビール焼酎、日本酒の海を漂いながら考えた新年会の夜でした。