世界文化遺産の土地の力

貯まったマイルを消費すべくちょっと遠出をしてきました。
どうせなら自分でお金を出していくには優先順位が低い場所、不便極まりない場所へ行こうと、オフシーズンで電車もバスも減便されている世界遺産2箇所に行ってきました。
 
加えて私はいいホテルにも、有名店にも行かず、ゲストハウスやフツーの旅館に泊まり、夜は小料理屋さんをスタートにディープな処に向かうという…
観光としては色々な方が色々なレポートをされているのでそちらに譲り、以下は私が人と地域に携わる仕事をしている身として、地元に根ざした生き方をしている2名の方との出会いから感じたことです。
 
それは東京や大阪などの大都市から距離も時間もかかるためか、純粋に観光に関わる人以外はあまり大都市を向いていないこと。
大都市はいいなぁとか、大都市からもっと人にきてほしいとか言わず、過度な自慢やへりくだることもなく、日々の暮らしを楽しむ中でその土地の良さが伝わってくれればいいと思っているようでした。
 
あるUターンした方は、観光客向けのカフェはあるけれど、実は地元の若い方が気軽に集まれる、若者同士(男女の出会い含めて)の出会いの場がないと、付近では珍しく夜遅くまで開いているカフェを運営されていました。
生活に根ざす、地域と共に緩やかに成長するというスタンスは営利が優先される日本企業よりもむしろ理念を優先する海外企業に認められ、コーヒー豆の輸入代理店として認められていました。
 
え、こんな辺鄙な場所で、と失礼ながら思ったのですが、東京だって清澄白河がそうですよね。
経済性だけを見るとその土地の良さに気づくことができない、むしろ周縁部の方がエッジの効いた人が集まってそこの良さを発掘してくれる。
このカフェもオーナーが一度大都市に出てUターンしたからこそ土地の良さを外部の目で客観視できた、そして観光だけではなく地元に目を向けているからこそいい輝きを持っているのだと思います。
 
そしてもう一人ゲストハウスで出会った旅に生きている方。
旅をしながら気に入った土地でしばらく仕事をしながら暮らす、また縁があれば新たな土地に向かう。
昔ならフラフラしていると言われるところですが、今はwebの仕事は場所を選ばない時代です。
むしろ旅の場でその土地の空気に触れ、人との出会いで成長することで、1箇所にとどまって仕事が煮詰まってしまうよりもインスピレーションが得られるのか知れません。
 
彼の話で印象的だったこと。
人は75%が外交的、残り25%が内向的。
一人の時間がないと落ち着かなくなる人(一人旅に出たくなるような人)は、一見外交的に見えても実は内向的な側面を持っている。
そうかと言ってずっと独りはだめ。他者との交流が必要で、その場合誰とでも親しくなれるので外交的に見えるのだそうです。
 
たまに猛烈に一人旅に出たくなる私にとって非常に納得すると同時に、今まで何百人と面談を重ねてきたにも関わらず、そこまで言語化できていなかったことに気づかされました。
 
これら出会いから得たものは、自然な出会いを誘発する仕組み=ゲストハウスやカフェ、昔なら小料理屋から発生したもの。
場が先なのか、人が先なのか。いやそのような二元的なものではなく、全てを包含している土地の力かも知れません。
土地の力をどう生かすのか、さすが世界遺産、土地の力も脈々と伝わっていくようでした。