「面白がる会」に参加して思ったこと

先日、「日本橋を面白がる会」というイベントに参加してきました。
面白がる会は、「難しい課題に対して、自分ごととして捉え今までの慣例や常識に囚われず、これからはこうだったらいいというアイデアをブレストする会」で、日本橋や神田など各地で開催されているそうです。

 

今回は日本橋横山町の町会長さんをお迎えし、昔からお住いの住民と、最近増えてきているマンションにお住いのいわゆる新住民との交流をどうしたらいいか、というテーマでした。
入谷の地で旧住民側として、新住民の皆様との交流をどうしたらいいか頭を悩ます私にとってはうってつけのテーマだったので、参考になればとの思いから参加しました。

 

生まれも育ちも横山町の町会長のお話は地元愛に溢れ、歯に衣着せぬ物言いは、あぁ、うちの近所もこういう方がいっぱいだと親近感を覚えました。

 

町会長のお話の後はワークショップとなったのですが、話の流れから「問屋街の活性化」というテーマになりました。
在住者1/3、在勤者1/3、残りが単純に興味のある人だったのですが、いちばん驚かされたのは横山町が問屋街であることや、その歴史的背景をご存知ない方の多かったこと。そもそも問屋の機能が何かをご存知ない方もいらっしゃいました。

 

となると、短時間のワークショップでは「問屋街って何?」から始まり、昭和レトロ的な通りの風景もあいまって、活性化に向けての各チームの答えは「認知度を高めるイベント」が多くなります。
来てもらう、知ってもらうためにはイベントも否定はしません。しかし、往々にしてそういった類のイベントは集客には結びつくものの、一過性のものとなり、冷めた旧住民側から「なんだ、あいつら?」という排除の理論がともすれば発生しかねません。

 

私は、活性化とは街が持っている力の底上げであり、街の持っているポテンシャルに気付き、引き上げることだと思っています。
とくに下町は江戸時代〜戦後の歴史的背景の中で、地域ごとに産業集積されているので、その産業を現代においてどう活かすかがキーになると思います。

 

残念ながら消費構造の変化によって衰退している産業や、住環境に対する意識の変化から郊外に移転した工場、また物流の変化により集積の必要性がなくなった地域もあります。
横山町を中心とした繊維関係の問屋さんもSPAの台頭やEC市場の発展により、問屋そのものの業績がV字回復することは難しいと思われます。

 

しかし、その産業に携わった方しか持っていないリアルな情報や暗黙知などが地域に集積されており、それこそが街の持っているポテンシャルです。
そして時として地元の人がそこに気づいていない場合や、気づいていても発信や活用の仕方を知らない場合もあります。
外部からの新しい視点により気づきが与えられ、その地域でしか得られないリアル、ノウハウが結びつくことで新たな動きが生まれれば、一過性ではない街の力がつくと思います。

 

ノスタルジーだけで街を残すのではなく、そこでしか持ち得ない真の実力をベースに次の世代につなげていく。
そのような動きをつけてゆく際に、どのような街だったのか知らない、どのような人がいるのかも知らないという人たちが多い中で、街としてのリーダーシップをとっていけるのは町内会を始めとした自治組織であり、それを支える地元企業であり、そこで働く人たちだと思います。

 

街のポテンシャルに気づき、そこで働くことに誇りを持てる。

 

そんな街としごとづくりに私は取り組んでいきたいということに、思いを新たにした「面白がる会」でした。