モノづくりの求人には「場」と「想い」が必要

10月20日(金)から22日(日)まで「浅草エーラウンド」が開催されました。

 

これは皮革産業が盛んである「奥浅草」と言われるエリアの魅力をもっと伝えようと、100を超える工房や問屋さんがワークショップや小売りなど、手弁当で街を盛り上げるイベントです。

 

その中で、私は「I want YOU」という企画に関わらせて頂きました。

 

きっかけは地域産業の方々からの人手不足、後継者不足という声。そして私自身が企業の人事担当として採用に携わってきた中で感じた疑問からでした。

 

人手が足りない、というニーズがある。一方で仕事を探している人はたくさんいる。でもお互い満たされることがない。

 

これは求人側が欲しい人材に対してアプローチができていないこと、就活する側も自分がどこに行けばやりたい仕事が見つかるのかわからない、という悩みがもたらす行き違いに他なりません。

 

皮革産業の方々もハローワークや人材紹介会社を通じて求人をしていますが、そもそも応募者が少ない、応募があってもその人はモノづくりやファッションに興味がないといったアンマッチを起こすことが多いようです。

 

いわば釣りたい魚が決まっているのに、大海原に釣り糸を垂れるようなもの。魚がいない場所であったり、魚がいても違う種類であったりするのです。

 

就活する側にとっても自分が食べたい餌が豊富な海がわからないまま、漂う状況なのだと思います。

 

浅草エーラウンドは今回で9回目となるのですが、その開催に向けてフリートーク会議が開かれ、さらなる活性化に向けた提案を自由に議論しました。そこに参加させていただいた私は、

 

「モノづくりや浅草に興味のある人が集まるエーラウンドであれば、その中に革やモノづくりの仕事に携わりたいと考える人もいるはず。モノづくり企業と求職者、両者がお互いを必要としているのであればエーラウンドは絶好の機会ではないか。」

 

とプレゼンさせて頂いたのです。

 

そこにご賛同いただいたのが今回のチーム「I want YOU」の仲間たち。飾り金具のメーカーさん、デザイン事務所さん、そして革工房の職人さん。約3ヶ月間、真剣に、楽しく話し合いを進めてきました。

 

そこには、この企画を通じて街をよくしていこう、これから仕事を探す人や革関連の仕事に携わりたい人に良い出会いを見つけよう、という想いがありました。

 

想いを共有している方々と話ができることほど楽しいことはありません。どこまでが仕事で、どこからが仕事ではないのか。そのようなことを感じさせない素晴らしい時間でした。

 

イベント当日はメイン会場に「I want YOU WALL」という掲示板を設置、企業への取材に基づいたデザイン感溢れる各社のポスターを作成、貼り出すことになりました。

 

そして、私が待機し、働きたい方と企業の想いをつなげることになりました

 

求人掲載の依頼があった各社に取材させて頂き、求人情報だけでは伝わらない想いをポスターのデザインに込めました。

 

そして迎えたエーラウンド当日。

 

なんと台風の直撃を受け、3日間の会期が1日短縮となってしまいました。

 

しかし、そんな悪天候の中でも事前の告知を見て、モノづくりの仕事に携わりたいという方々が訪れてくれました。

 

条件などで合わない方もいらっしゃいましたが、何名かの方が面接まで進むことになりました!

 

最終的に就職に結びつくかは、これからの面接結果次第です。

 

もちろん企画や運営に課題もありました。

 

しかし、悪天候の中でも一定の結果を残せたのは、「出会いやすい場を作れた」ことと、「想いを共有した方々と仕事ができた」ことに尽きると思います。

 

つまり企業側も求職者の側にも「浅草エーラウンド 革とモノづくりの祭典」という共通の「場」があったこと。

 

そして、モノづくりの街をよくしたい、求職者に良い出会いを提供したいという「想い」が共通だから、企画、取材、デザイン、製作、告知といった担当それそれがいい仕事ができたのだと思います。

 

エーラウンド参加企業様向けの説明には

 

「WALLの傍らには求人ソムリエが相談をお待ちしています。働きたい方とメーカー、工場の想いをつなげるのが求人ソムリエ。お互いの想いを叶えるストーリーを提供します。」

 

とあります。お互いの夢を叶えるにはまだまだ、小さな一歩を踏み出したばかりです。今回の課題をしっかり整理して次回に、そしてゆくゆくは産業の活性化につなげることができれば嬉しく思っています。