繁忙期のノウハウの継承はどうする?

クリスマスから年末年始にかけて、いろいろなお買い物に行く場面が多いのではないでしょうか。

 

クリスマスプレゼントを選び、予約したクリスマスケーキを受け取り、年越しに備えて買い物に来た食料品売場でもみくちゃになり、そして年が明けて初商やクリアランスセールに並ぶ。

 

そんなとき上手なオペレーションに接すると混雑も苦になりません。

 

私は20年近く年末年始の販売の現場に携わりました。この時期は休みも少なく、早出や残業も多くなるので体力的には辛かったのですが、イベント的な高揚感と、お客様の笑顔は疲れを忘れさせくれました。

 

昨年、起業の道に進んだことで、社会人人生で初めて年末年始が休みとなり、混雑した大晦日の百貨店に買い物に行きました。混雑している中で売場の応援に出ている顔見知りにあちこちで出くわし、却って居心地が悪かったことを覚えています。

 

そして今年は、起業家としては残念なことではありますが、年末年始が「ヒマ」ということで出身店にお声をかけていただき、繁忙期のお手伝いをさせていただくことになりました。まぁ、バイトってやつです。

 

小うるさいOBである私に声がかかるということは、人手不足の深刻さを物語っていますが、実は販売の現場には私以外にもOBの方が活躍されています。

 

その理由は「いちいち説明しなくても勝手を知っているので助かる」「臨機応変な対応をしてくれる」ところにあります。

 

組織の継続性ということを考えるとOBに頼りすぎるのは禁物なので、きちんとデータを取って、マニュアル化して、誰でもできるようにしよう、などと考えるのですが、いざその時がくると、年に1回のことだし、当日はてんてこ舞いだし、結局記録を残せぬまま終わることに…。

 

そして来年もOBに頼る、暗黙知に頼ることになるのです。その暗黙知を共有化して、組織の力にするのがナレッジマネジメント。個人のもつ暗黙知を形式知に変換することにより、知識の共有化、明確化を図り、作業の効率化や新発見を容易にしようとする企業マネジメント上の手法です。

 

でも、そんな難しくナレッジメントなんて言われてもねぇ、というのが労働集約型の産業の実際のところではないでしょうか。

 

でも、知の継承を図らなければ組織の永続はありません。ではどうするか。私はこの3つをしっかり行うことが重要だと思います。

 

① 任せられるNo2を作る。
② 責任者は現場を引いて見る。
③ OBを「活用」する。

 

まず、任せられるNo2を作るのは一朝一夕にはできません。これぞ、と思われる人物をしっかり、じっくり育てる必要があります。その見極めや、育成には個々に応じてノウハウがありますが、大事なのは「信じる」こと。あなたが見極めた人物です。あなたが信じなくてどうしますか。

 

そして、責任者であるあなたは繁忙期の現場を一歩引いた目で見ましょう。入り込んでしまうと周りが見えなくなります。現場では想定しえないことも多々起こりますが、その一つ一つに入り込むと全体統制ができません。それぞれの問題を的確に把握し、適切に指示を出す。その際に必ずNo2に同席させる、もしくはNo2を通じて指示を出せば、知識の継承は進みます。

 

ついつい責任者が深入りしてしまいそうな、多々ある問題を具体的にどう解決していくのか。この場面でOBにお願いしましょう。そう、積極的に活用するのです。

 

OBは数々の問題を目の当たりにして、口や手を出したくてうずうずしています。でも指示を出してしまうのは後輩の顔を潰してしまうし、煙たがられるかもしれないと思い、遠慮しています。

 

そこを後輩である責任者からお願いされれば、我が意を得たりとばかりに活躍してくれること間違いなしです。

 

人手不足が言われる中で、若い人を採用したいというケースは多いです。もちろん組織の活性化のためにはそれも必要ですが、年齢だけを基準として採用しない、というのは正直もったいない話です。

 

ベテランにはベテランなりのノウハウがあり、若い人にも参考になるはずです。マニュアルだけでは伝わらない暗黙知をぜひ吸収、活用してほしいと思います。

 

何よりみなさん元気ですから、若い方のためと思えば粋に思って活躍してくれます。
というわけで、私は大晦日もお正月も後輩に頼まれて「しょうがねぇなぁ」と言いながら活き活きと働いて参ります。

 

あ、私はまだ若い人の部類ですけどね。